「伝わる」ということ
私は現時点で、某派遣会社の内勤事務をしています。
といっても、あと2週間くらいで退職するんですけどね。
上司のやり方に本当に納得できなくて。
そこの会社に「こだわって」仕事を続ける理由もないので、退職します。
私の進退の話がしたかったのではなく。
ここ最近、上司は様々なトラブルに見舞われていて、疲労困憊です。
先日「何で、こんなにトラブルが続くんでしょうね…」と。
うん。
一言で言えば、あなたの気持ちが相手に伝わっていない、誤解されていたり、信頼関係が構築されていないからだよね?
要するに、好かれていないから。それだけでしょうね。
↑ 本人に遠慮なく言ってしまいましたが(苦笑)。
「言ったか」ではなく「伝わったか」
それでも上司は自分では、登録スタッフなどに対して、「言ったか」ではなく「伝わったか」を確認しろ、と言うんですね。
では、その「伝わった」というのは何なの?
私からしてみたら、上司の「伝わった」は、その経緯を説明して、理由と背景まで言え、ということでしかなくて、私からしたら、それは「伝わった」ではなく「説明した」か、でしかないんだよね…。
その説明した内容に対して、相手が「理解したか」の確認を取って、相手が「YES」と言ったら「伝わった」としているみたいなんだけども…。
それ、なんか違うような気がします。
私にとって「伝わった」ということは。
相手が気持ちよく「納得したか」でしかない。
つまりは「腑に落ちた」感覚をその人が得たかどうか。
相手が自分にとって気持ちよく「YES」を出せたかどうか。
それが「伝わった」ということだと、私は思っています。
なぜ「YES」と言ったのか
同時に上司はいつも、人には「なぜ?ということも考えて、分からなかったら聞いてくれ」と言うのですが…。
上司はその相手がなぜ「YES」と言ったのか、見ていません…。
登録スタッフが、派遣先に入る時に「こういうことが起きてしまうと、会社にとってマイナスになるからやらないでね!」ということを言うらしいのですが、それに対してスタッフが「YES」と言ったら、それは「伝わった」ことなんでしょうね、上司には。
が。
なぜ「YES」と言った人たちが、無断欠勤の末、音信不通になり出勤しなくなるのか。
そのフォローに上司が東奔西走しなければいけないのか。
それは、「会社にとってのマイナスは自分にとってのマイナスではない」からでしかない。
別に彼らは会社にとってデメリットになろうと何だろうと、構わないんですよ。
本当はよーく考えれば分かるんですけどね、自分にとってのマイナスにもなることくらい(苦笑)。
でも、そのデメリットが分かっていても、逃げた方がメリットがある状態なんですよ、彼らには。
つまり、あの時のYESは「その場しのぎ」のYESでしかなく、話した内容や経緯、事情や思いなんて、一切伝わっていなかったということです。
心からの「YES」を得るためには?
では、彼らが心からの「YES」を言えるようになるには、どうすれば良かったのでしょう。
簡単ですよ。
彼らに「共感」を与えればいいんです。
え?簡単じゃない?
自分が共感することって何でしょうか?
どう考えても「自分にとって都合がよいこと」「自分が心地よいこと」「自分が得すること」でしょ?
つまりは。
「ここの案件の対応をしていくと、あなたたちにはこんなにいいメリットがありますよ!」という提示が出来ていなかったということです。
そしてそれを与えるには、相手が一番何に対してメリットを感じていて、何を一番求めていのかを、しっかり個別に掴むことです。
それをしっかり与えてくれる人に対して「当たり前だよね?」と思う人、多分少ないです。
が。
お金(賃金)で釣っても、何の意味もないよ?
働けばお給料がもらえるの、当たり前なんでね。
それ、すでに就業条件に入っているんだから、すでにそのお金がもらえるのは「当たり前」になっているので、今さらメリット提示にはならないですよ。出来高制でもないんだし。
それがない場所で「ツライなー、面倒だなー」と思ってしまったら、その人、そこで働く理由なんて、なくなりますよね?
それを防ぎたいのなら「ツライなー、面倒だなー」と思っても、「でも、こんな旨味があるんだよなー」ですとか「こんなプラスがあるんだよなー」をくすぐることが大事なんじゃないかと思います。
相手が気持ちよく、納得して「YES」を出すことが「伝わる」ということ。
心に染み入ること、納得感が強いことが「伝わる」ということではないかと思うのです。
キーワードは「なるほどね…!」
人って、どんなにイヤなことであっても、その中に1つでも自分のメリットになることがあれば、動いたりするものです。
本当に突然来なくなってしまう派遣スタッフの方もいるのですが、音信不通になったりしても、ダメ元で何度も電話やメールはします。
まぁ、電話は出ないよね(^^;
それでもメールを送る時に、ある事をすると、大抵返信が来て、持ち帰ったままの制服がちゃんと返却されたりします。
それは。
「制服の返却が確認できませんと、就業先の方が賃金のお支払いをしてくれません、労働対価の請求が出来ませんので、早急な制服の返却にご協力ください」
と、相手に「命令」ではなく「お願い」をする、ということ。
つまりは「あなたのお給料のために、私たち、交渉しています!」という、そちらの味方であることを匂わせるんです。
そうすると、相手が「働いた分の給料は払えよ!ブラックか!」と思っていたとしても、「あ、自分が制服を持っているからいけないのか」と、その制服を返却することでのメリットを感じさせて、給料が払われない理由にも「なるほどね…!」と納得してもらう。
そして、お給料を得るための行動(制服の返却)を引っ張り出す。
このように、相手の行動、反応を引き起こすことが「伝わる」ということだと思うんです。
それと、自分が納得していることだからといって、相手もそれに納得するかどうかは別なんですよ。
それを忘れて、自分が納得できていることの理由と背景を相手に説明して「伝えたよね?YESって言ったから、伝わったよね?」というのは、相手に「YES」と言わせただけであり、そのYESは本心ではないんですよ。
伝わった時の「YES」は言わされたYESではなく、自分が自発的に選んだ、納得した「YES」なので、行動もしっかりYESになるんです。
言わされた「YES」に対して「あの時、YESって言ったんだから、自分の発言に責任を持てよ!」というのは、何となく言葉の暴力であり、考えの押しつけなので、そりゃ、誰もその考えにはYESって言わないよね…。
だから、上司はしっぺ返しを食らって、東奔西走しなければいけなくなるのよ…。
因果応報っていうのも、本当なんだなー、という話にもなりますね、これ。
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